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ヴァンダナ・シヴァ Vandana Shiva

環境活動家、科学哲学博士。有機農業や種子の保存を提唱し、森林や水、遺伝子組み換え技術などに関する環境問題、社会問題の研究と実践活動に携わる国際的指導者。
1952年、インド北部のウッタル・プラデーシュ州(現ウッタラーカンド州)デラドゥン市に生まれる。1978年、カナダのウェスタン・オンタリオ大学で物理学および科学哲学博士号を取得。1982年までバンガロール・インド経営管理大学で研究に従事。石灰岩鉱山の環境調査をきっかけにデラドゥンに戻り、研究と連動した社会運動の拠点として同年「科学・技術・自然資源政策研究財団(現科学・技術・エコロジー研究財団)」を設立。この財団は草の根レベルの環境運動を支援する研究者のネットワークで、森林・林業、水資源開発、農業、生物多様性の保全など、自然資源の利用にかかわる諸問題に取り組んできた。最先端の科学技術に警鐘を鳴らし、経済のグローバル化による負の効果を告発するため、書籍やパンフレットを発行している。
さらにヴァンダナは、有機農法の研究と実践、普及活動のためのネットワークとして、NPO「ナヴダーニャ(9つの種)」を立ちあげた。個々の地域に合った伝統的な種子に関する知識を集約し、それを農民たちに提供している。デラドゥンにあるナヴダーニャ農場では、630品種に及ぶ米の他、多品種の麦、雑穀、野菜、ハーブの種子を栽培、採種し、シードバンクで保存、種子の一部は、首都デリーのオーガニックショップで販売されている。
ヴァンダナはイギリスのシューマッハー・カレッジをはじめ、世界各地で講義や講演を行ってきた。また自ら、ナヴダーニャ農場内に「ビジャ・ビディヤピース(種の学校)」を設立、生物多様性、持続可能性、ガンディー思想など多岐にわたる講義やワークショップには世界中から新しい生き方や社会のあり方を模索する若者が集っている。
1993年、もう一つのノーベル賞と呼ばれる「ライト・ライブリーフッド賞」、国連環境計画の「グローバル500賞」「アースデイ国際賞」「福岡アジア文化大賞」などを受賞。これまでに300を超える専門的論文を発表し、多数の本を著者・共著者として出版。それぞれ多くの言語に翻訳されている。邦訳された主要著書は以下の通り。
邦訳著書に、『生きる歓び―イデオロギーとしての近代科学批判』(熊崎実訳・築地書館1994)、『緑の革命とその暴力』(浜谷喜美子訳・日本経済評論社1997)、『生物多様性の危機―精神のモノカルチャー』(高橋由紀+戸田清訳・三一書房 1997→改訳版・明石書店2003)、『バイオパイラシー―グローバル化による生命と文化の略奪』(松本丈二訳・緑風出版2002)、『ウォーター・ウォーズ―水の私有化、汚染そして利益をめぐって』(神尾賢二訳・緑風出版2003)、『生物多様性の保護か、生命の収奪か―グローバリズムと知的財産権』(奥田暁子訳・明石書店2005)、『食糧テロリズム―多国籍企業はいかにして第三世界を飢えさせているか』(竹内誠也+金井塚務訳・明石書店2006)、『アース・デモクラシー―地球と生命の多様性に根ざした民主主義』(山本規雄訳・明石書店2007)、『食とたねの未来をつむぐ―わたしたちのマニフェスト』(小形恵訳・大月書店2010)などがある。