【宮崎県】21世紀の経済論 vol.55(2017/2/13)の主催者様よりいただきました
〇「21世紀の経済論」とは
宮崎県綾町。照葉樹林の森を抱える自然豊かな町です。綾町に工房八十一(やそいち)を構える陶芸家興梠智一さんが「21世紀の経済論」を月に1回開催されています。今回の上映会はその一環として行いました。 以下、興梠智一さんより
『2012年7月11日、宮崎県綾町はこれまでの活動が評価され国連ユネスコ「エコパーク」に指定されました。 「ユネスコエコパーク」とは、「自然との共生モデル地域」のことです。これまでの環境破壊を繰り返す社会から、人類はどのような社会システムを選択していくべきなのか、それを世界が探っています。その可能性を探る一つとして、「ユネスコエコパーク」があると考えられます。では「ユネスコエコパーク」にふさわしい社会システムとは一体どのようなものでしょうか。それはまさしく「21世紀の経済論」で世に問うている、「お金に対する正しい知識=お金の呪いを解くこと」であると確信しています。綾町は、これまでの「目先のお金ではなく、森を守った」方針だけでなく、環境破壊の根本原因となった人間の経済活動にも目を向け、自然と共生モデル地域にふさわしい経済モデルを構築していくべきです。そしてそれを実現するために不可欠なこと。それは私たちの意識の変革です。何も難しいことはありません。これまでのやり方では、結局自分たちのクビを絞めてしまう、という事実と向き合うだけのことです。もちろん、それなくして(現実と向き合わずして)人類の未来はないと言えるでしょう。私たちが目指すところは、ヴァンダナ・シヴァさんの活動と同じベクトルにあるものです。』
〇当日の様子
夜7時から始まった会には地元綾町や宮崎市内から大人8名、小学生2名、幼児2名、乳児1名が参加。「ヴァンダナ・シヴァのいのちの種をだきしめて」を上映後、宮崎なっぱの会のオーガニック野菜たっぷりのベジタリアンカレーとチャイをみんなでいただきました。その後、参加者の皆さんに自己紹介を兼ねて映画の感想などを述べていただきました。最後に、映画の舞台であるインド・ナヴダーニャ農園を昨年末訪問した西村から農園の様子、農園を実際に訪れて感じたことなどをお話しいたしました。
〇参加者の感想
『シヴァさんのことばが、強く、優しく、穏やかに胸に響いて…また、機会があれば、いろんな方と一緒にみて、シェア出来る時間が持てたらいいなぁ~と思いました。』
『ヴァンダナシヴァさんの活動は、多岐に渡ってる印象を受けましたが、一つ一つが繋がり合って自然と一つの大きなアースデモクラシーという活動になるのだなと感じました。
そして、シヴァさんの活動は、種から始まる経済活動を含めた全ての循環に矛盾がなく、この活動がこれからの地球全体のロールモデルになることを強く願います。』
『ナブダニヤ農園の自然の美しさに心を奪われました。
種を風で飛ばしてゴミなどを飛ばす(風選)の様子が、かつて日本でも、唐箕がけなどとして行われてたんだろうなあ、懐かしい未来の光景だと思いました。
バァンダナシヴァさんの強くストレートな話しぶり、行動力に惹き付けられました。
遺伝子組み換え作物の栽培による借金や健康被害などが原因で、インドの農民の自殺者が27万人にのぼることに衝撃を受けました。
固有種を守ることの重要性、遺伝子組み換え作物の危険性を改めて知ることができました。
主催者さんが作ってきてくれたカレーやチャイがおいしかったです。
参加者が子連れママさんが多く、遊びまわる子供たちを周りの大人が暖かく見守る雰囲気が良かったです。』
『「私は愛するものすべてを抱きしめることにした」シヴァさんの熱い眼差し、揺るぎない言葉に勇気をいただきました。命の源である種。私たち大人は未来の子どもたちのためにも命をつなぐ役目を果たさなければなりません。社会に流されることなく、断固とし遺伝子組み換えを拒否し愛するものを守っていきたいと思います。』
『ひとつひとつのメッセージが心に強烈に響いてきました。地球に生まれたわたしという命を最大限に活かしたい。豊かさはそれぞれの中にあるのだと思いました。』
他には、『もう一回観たい』『それぞれのペースで、良い方向に向かって進んで行きたい』という感想もいただきました。
〇上映担当者より
私は一年半前にこの映画を観て衝撃を受けました。ぜひ農場を訪問して肌でその雰囲気を学びとりたいと思い、2016年12月末の4日間ナヴダーニャ農場に滞在しました。今回は映画をみんなで観た後、私が農場を訪問して感じたこと、考えたことを、参加された皆さんとシェアしました。
「人間は生命という織物の一部」(ヴァンダナ・シヴァさん)
「経済はコミュニケーション」(興梠智一さん)
これらの言葉が今回の上映会とシェア会後、私の中でぴったりと結びつきました。ナヴダーニャ農園敷地内にはシードバンクがあります。バンクと言ってもやりとりするのはお金ではなく種。シードバンクの種を無料で分けてもらった人は、その種を自分の畑に播き、育った作物には何倍もの種が実ります。その種の一部をバンクや他の人に分けたり交換したりする。お金を介さない経済です。そこにはコミュニケーションが存在します。そしてコミュニケーションを通じて心が通い合う喜びが存在します。これこそが私たちがこれから求めていく経済の方向性ではないでしょうか。大量生産・大量消費・大量廃棄、そしてグローバル経済の歯車にされてしまう私たち・・・そんな経済はもうたくさんです。
私は今、これまでの半生を振り返り自戒を込めて考えています。自分や我が子さえよければいいのではない。生命の織物の一部である自分が、この地球上に生きる生命すべてが健康で持続可能であるために、これからすべきことは何か? 日々できることを実践し、常によりよい道を求め続けていきたい。(西村)
〇関連ウェブサイト
「21世紀の経済論」FB https://www.facebook.com/events/148940748933212/
「プロジェクト綾」 http://eco-aya.info/
「陶房八十一」 http://yasoichi.jp/
「ナヴダーニャ」 http://www.navdanya.org/home
〇参考文献
『里山資本主義 -日本経済は「安心の原理」で動く』(藻谷浩介、NHK広島取材班)角川書店
DVDブック『ヴァンダナ・シヴァの いのちの種を抱きしめて with 辻信一』(ヴァンダナ・シヴァ、辻 信一、 本田茂)素敬 SOKEIパブリッシング
『ラダック 懐かしい未来』(ヘレナ・ノーバーグ・ホッジ)山と渓谷社
『スモール イズ ビューティフル』(E・F・シュマッハ-)講談社